頭のいい彼女たちは、年収云は口には出しませんが、たとえば、外資系に勤めていたり、留学経験のある女性たちの場合、「せめて日常会話程度の英語ができる男性でないと。
友だちのパーティーなどで夫が一人ぽつんとしてしまうと困りますから」とよく言います。
要するに、自分より上の男。
仕事のできる女性は自分より仕事ができる男性を望むわけです。
「年収も自分より上が、せめて同じぐらいで、自分の仕事に理解がある、かつ、センスとかライフスタイルも合うすてきな男性、コミュニケーションカの高い男性(女性たちはよく「会話のキャッチボールができる人」という言い方をします)です。
七〇年代半ばぐらいまでの生まれの女性は、ほとんどみな、そうです。
日本女性は本来、上方婚志向なのです。
つまり、依存型の人も自立型の人も、実は、まるで同じ男性が好みなのです。
では、貴重というか希少な、そういう男性は、どういう女性を好きかというと、基本的には、自分をバックアップしてくれる旧来型の女性です。
それこそ、自立型の女性か仕事に邁進している間に、依存型の女性のうちのごく一部の目先のきく女性たちに根こそぎ刈り取られてしまっていて、市場には、ほとんど残っていません。
かくして、ふつうの依存型の女性は、「条件」と「恋愛」が両立できる相手になかなか出会えず、自立型の女性たちは、「結婚」と「自分」を貫くことの両立に迷う結果、結婚できないでいるわけです。
つまり、依存型の女性のうちのごくごく一部か、みなが望む男性を見事獲得するわけですが、それでは、彼女たちと残っている女性化との違いは何なのでしょうか?まず、依存型の女性で残っている人たちをさらによく見てみると、多くがパラサイトでした。
つまり、どう考えても、刈り取りのやり方が甘かったのです。
どこか、まだ親にパラサイトしているからいいわという余裕を残している女性が、真剣に結婚で食っていこうという女性に太刀打ちできるはずがありません。
覚悟も違えば、戦略もありませんでした。
一方、自立型の女性に関しては、仕事については、すばらしい戦略か立てられる、自分の担当の商品を売るのはものすごくうまい、でも自分を売り込むことの下手な人が多いように思います。
やはり、仕事ほどには、せっぱ詰まっていないのかもしれません。
つまり、依存型、自立型、どちらのタイプの女性たちにとっても、結婚がかつてのような生活必需品ではなくなってきていること、それが根底にある要因だと思います。
つまり、生活必需品ではなくて嗜好品。
だから、自分の嗜好に合わない結婚ならしたくない、というのが、本音でしょう。
だいたい、多くの女性たちが、結婚したら絶対に専業主婦になりたいとか、何か何でも仕事を続けるとか、そこまではっきりと思っているわけではありません。
統計には出ませんが、多くの女性の話を聞いていると、実はどちらでもOKという人が七割だと思います。
実際のところ、相手の状況次第、どちらにでも転べるという人が結構多い。
条件とときめき、つまり恋愛が両立するのがいちばんですか、もし好きになれる人が現れたら、条件を少曲げてもいいと思っているのです。
そこまで柔軟に考えているのに、なぜ、結婚できないでいるのでしょうか?一つは、結婚後の生活への不安です。
まず、男性、特に現在三十六歳以上の男性に家事スキルがないということです。
女性が仕事を続ける場合、男性の家事スキルは必須なのですが、専業主婦の母親、あるいは仕事をもちながら完璧な主婦でもあったという母親に育てられた男性には、家事スキルもなければ、スキルを磨くチャンスもない。
それを身につけるべきだという認識もありません。
現在、経済的な必然性もあって、かつてのように女性が働くことに抵抗を示す男性は少数派です。
「当方年収五百万円、一緒に稼いでくれる女性希望」と、最近は、奥さんに仕事を続けてほしいと思っている未婚男性のほうが多数派なのです。
けれども、「でも家に帰ってご飯ができていないとさびしいですよね」という情緒的なところは、昔と何も変かっていません。
もう一つのハードルは子育てです。
男性の言い分は、たいてい「やはり子どもには母親がいちばん。
もちろん、自分も手伝いますが、自分の育った家庭がそうでしたから、どうしても子育ては母親がメインだと考えます。
三十五歳以下になると、「育休をとりたい」という男性もたくさん出てくるのですが、「育休の制度かあってもとりにくい」「仕事を捨てた人とみなされてしまう」という社会風土の問題もあり、男性の子育てと仕事の両立は女性以上にむずかしいようです。
実際、子育て期の三十代男性社員の二五%が週六十時間以上働いています。
NPOファザーリングージャパン代表の安藤哲也さんか、シンポジウムで「ワークーライフーバランスを実現する代わりに、あきらめたり捨てたりしたものはありますか?」と質問されたとき、「男の浩券ですね」と答える場面があったのが印象的でした。
男性にとっては、「男の迪券」というハードルもかなり高いものなのです。
女性たちか結婚したその先のことを想像すると、「経済的にも厳しいから、きみも稼いでね。
で、家事も子育てもきみがメインでやってよね」という男性の本音か見えてきます。
女性たちは、男性のそういう甘えを感じとって、結局、「年収がすべてではないけれども、どうせ女性の家事の負担が多くなるのだったら、やっぱりある程度稼いでくれる人でないと、となるわけです。
従来型の結婚を実現できるような経済力をもつ相手は今やごく少数です。
ですから、負け犬世代以降の不況を経験した若い女性たちの間では、依存ではなく、ちゃんと対等に働いて、家事育児も平等にして、ワークーライフーバランスを夫婦で楽しみたいという志向の人が増えています。
しかし、そんな新しい夫婦関係を実現できそうな男性もまた、まだまだ少数なのです。
男女ともに役割分担のすり込みがあり、それを乗り越えて対等を実現するには、コミュニケーション能力が必要です。
これが「ライフスタイルのすり合わせ」です。
完全に対等でなくても夫婦が幸せにやっていくコツは、意外に男性から女性への簡単なサービスだったりします。
つまり「妻の話をよく聞く」とか「ほめる」とか「一緒に買い物に行って重いものを持ってあげる」とか、ごく些細な日常的なことなのです。
米国シカゴ大学の山口一男氏は「年収か十万円減っても、平日の夫婦の会話が十六分増えることで相殺される」と、日経新聞紙上に「結婚満足度調査」を発表しています。
しかし、日本男性は、世界」女性へのサービスが苦手な人種だと思います。
これもまた、男女双方にとって、結婚したい相手がいない、という状況を生んでいるようです。
さらに女性からの結婚の条件に必ずあがるのが、「尊敬できる男性でないとイヤ」というものです。
仕事のできる女性ほど男性社会の価値判断で人を見交すから、いっそう、その傾向が高まります。
すると、自分より稼いでいない男性はやはり尊敬できないわけです。
特に七〇年代生まれまでの人は、なんらかのところで自分を凌駕してくれるような男性でないと好きになれません。
その思いの強い人ほど、なかなか結婚できません。
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